テレビ愛知『健康ワンダフル』より

【怖い、脱毛処理】

浅井 Reporter 脱毛処理についてお話を伺う前に、基礎知識として、毛そのものについてお話しいただけますか。
福田 Doctor そうですね。毛というのは、頭の先から足の方まで、いろいろあります。毛について一度覚えておいて欲しいのが、毛には必ずヘアサイクルというのがあります。それで、ヘアサイクルとはどういうのかというと、成長期でどんどん伸びる時期があって、そういうのが2年半ぐらい続いて、一度、退行期というので抜けて来るわけです。抜けてしばらく休んでる状態があって、それからまた成長期になって生えて来る、と。これ(図を指しながら)が毛母細胞というところで、ここから生えるんじゃないかっていう話を、昔言われてたんですけれど、これはいろいろな説がありまして、まだこの毛母細胞が、本当にどのへんにあるのかとかいうのが、ハッキリわからないというのも、ひとつあります。
それから、髪の毛だけじゃなくて、いろんな体の毛も含めて、男性ホルモン・女性ホルモンの影響を当然受けます。それから、甲状腺ホルモンの影響を受けることもあります。また、ホルモンのリセプターの問題とか、いろんな酵素の問題とか、いろんな問題が関係してきて、毛を完全に抜いたり生やすようにしたりという、コントロールするということは、現時点では不可能であるということが、ひとつあります。
そんな状況で、脱毛ということを考えて、高校生の方ですと自己処理をしたりとか、ワックスやテープで取ったりとか、薬を使って溶かしたりとか、いろいろしてみえるようですけども、これでは完全な永久脱毛というのはできないというのが現実であります。いろいろ自己処理を繰り返していると、毛穴のところから雑菌が入って、炎症を起こして毛嚢炎(もうのうえん)になったりとか、その後に色素沈着が残ったりとか、いろんな問題が起こり得ることはあります。ですから、毛の問題というのは、たかが毛・されど毛というぐらいの話で、少しいろんな知識を持って、自分で自己責任の問題で考えてもらうことが必要かなと思っています。
浅井 Reporter 腕や足、わきの下などのムダ毛の処理は、すっかり定着しているようですが、脱毛処理についてお話しいただけますか。
福田 Doctor まず、脱毛処理で自己処理をする場合についての、注意事項を話します。自己処理については、カミソリで剃るとか、ワックスで抜くとか、薬を使って溶かすと、大きく分けてこの3つの方法があります。この3つの方法について、それぞれいろいろ注意をしていただければ、簡単にできるしいい方法ではあると思います。その場合、カミソリで剃る場合には、まず毛の流れに沿ってきちんとカミソリを使っていただきたい。逆毛で剃るとかいうことをされると、二時感染の元になりますよ、と。それから、ワックスではがす場合も、毛の流れに沿ってきちんとはがす、と。これも、逆毛ではがしたりとかすると、いろいろ皮膚のトラブルの元になります。薬を使って溶かす場合も、これは毛のケラチンというものを溶かすわけですから、それが皮膚の表面にもダメージを与えて、カブレの原因になる方もあります。ですから、これは使う前に、どこか一度お試し塗りをして、カブレないことを確かめて使われるとか、そんなことが必要かなと思います。
脱毛をする場合に、繰り返し自己処理をするわけですから、どんなことが起こる可能性があるかと言うと、カミソリを使えばそれなりに皮膚の方にダメージを与えますので、皮膚がダメージを弱めるために、何回も何回も剃ってると、少しずつ角層が厚くなるという問題があります。これも、人によって起こる場合と起こらない場合があるんですが、何回も何回もカミソリを使って、皮膚が厚くなるような感じがするという方も、ちょっと止められた方がいいのかなと思います。それから、ワックスとか薬を使って毛を溶かすというのも、毛穴のところからバイ菌が入りやすい状況になり、2次感染を起こすこともありますので、きちんと剃毛した後にローションを使って、皮膚を抑えるような状態にしておくとか、そういうことが必要かなと思っています。
浅井 Reporter 永久脱毛という言葉を、よく見たり聞いたりしますが、これはどういう脱毛処理なんですか。
福田 Doctor 永久脱毛というのは、まず現時点ですと、エステティックでされているようなこと、それから我々医療の側でするもの、それともうひとつは通信販売で器械を購入してされるというのと、大きく分けると3つあると思います。通信販売で買う器械では、毛のところを挟んでこれに通電をして、電流を流して炎症を起こして抜くわけなんですが、これだとほとんどの場合は永久脱毛にならないと、僕らは思っています。
エステティックとか我々が行っている、いわゆる針脱毛という脱毛があるんですけども、これは1本1本の毛穴に針を挿入して、そこに通電して毛根を破壊する、と。それで、永久脱毛にするという方法なんです。この場合に、ここ(皮膚表面近く)の部分を保護するという目的で、我々は絶縁した針を使って、表面のところだけは火傷を起こさないようにしてやっています。こういう方法が、いわゆる針脱毛なんです。
もうひとつは、レーザーによる脱毛というのがありまして、レーザーは黒いものにだけ反応する光を当てるわけです。そうすると、毛はご存知のように黒いですから、カミソリできちんと剃毛しておいて、ある一定の光を当てると、いわゆる火傷の状態が起こって、これを数回から5回ぐらい繰り返すと、毛が生えなくなるよという理屈があるわけです。レーザー脱毛というのも、ひとつはいろんな器械の問題があって、レーザー脱毛イコールすべてではないというのも現実ではあります。かなり効果のいい脱毛の器械というのも出てきていますが、太い毛には結構有効なんです。ですけど、細い毛というのになると、なかなか難しいという現実もあります。それは、太い毛に光が反応すれば、大きなエネルギーが出るけれども、細い毛だとエネルギーの出方が小さくなって、充分毛を焼いちゃうということができない、という現実があるわけです。ですから、部位的に言うと、いい結果が出るのは脇とか下腿とか、そういう結構毛の太いところが、わりかしいいような感じがしてます。
取り敢えず今言ったように、永久脱毛にもいろんな方法があるわけなんです。その中のいろんな選択を、患者さんにしていただくのが一番いいと思いますけども、それぞれ利点・欠点、効果の問題、副作用の問題、いろいろあるわけですから、そういうことをきちんと説明していただいて、納得してから施術を受けるようにしていただくと、いろんな問題が少ないのかなと思っています。
浅井 Reporter 最後に、脱毛処理についてのアドバイスということで、今日のお話をまとめていただけますか。
福田 Doctor まず脱毛には、自己処理をする、毛を抜くとか剃るとか溶かすとか、こういう自己処理の場合と、永久脱毛を目指すということで、針脱毛をするとかレーザーをするとか、大きく分けて5つぐらいの方法があると思います。この場合、それぞれにいろんな、メリットもあればデメリットもあるし、リスクもあります。永久脱毛にはいろんな方法があって、それぞれ個人差があります。針脱毛にしろ、レーザー脱毛にしろ、完全にできない方も中にはみえます。そんなことも一応頭に置いて、いろいろ選択をしていただきたいなと思っております。それから、よく聞く問題としては、多額のローンを先に組んでしまって、その後なかなか予約が取れないとか、そういったトラブルも聞くことがあります。ですから、一度一度、その場その場で、料金を払われる方がいいのかなと思っております。また、永久脱毛については、保険診療の適応には現在なっておりません。将来においては、これも考慮されることがあるかも知れませんが、保険が適応でないということと、そのためにローンを最初に組んだりしないという、この2点だけは気を付けていただいて、その他の問題については、近くの皮膚科のお医者さんにいろいろ相談されて、自分に合った選択をされるのがいいかと思っております。
浅井 Reporter どうもありがとうございました。

【戻る】