アトピーの人とお化粧

鈴木真理著『素肌美人になる本』(チクマ秀版社)より抜粋

「私、敏感肌なの」という言葉をよく耳にします。この場合の敏感肌と同じようなニュアンスで、最近「アトピー」という言葉が使われているようです。この自称アトピーの人を診察してみると、ぜんぜん別の病気である場合も多いので、アトピーではないかと思う人は、一度皮膚科医の診断を受けることをお勧めします。その上で通院するなり、正しい方法で悪化を防ぐなどの処置をしましょう。

また、アトピーに良いというのを「売り」にしている、化粧品も登場していますけれど、化粧品として販売されているものに、病気を治す効力はありません。補助的な役割は果たすものもあるようですけれど、それ自身にアトピーを改善する力はないと思って下さい。アトピーに良いと言われて買って、使ったために、トラブルを起こしてしまうこともあるのです。

ところで通称アトピーと言っているのは、アトピー性皮膚炎のことが多いようです。肌がカサカサになり、粉を吹いたように見えたりします。かゆくてかいているうちに、皮膚の表面を守っている角質を傷つけてしまい、そこに化粧品の成分が作用して炎症を起こし、赤くただれてしまうのです。これは、一見化粧かぶれとよく似ています。《お化粧をすると肌がヒリヒリする。これは化粧かぶれだ》と思っていたら、実はアトピーだったというのは、よくあることです。

いま言ったような症状がある人は、お化粧はしない方が良いでしょう。でも、学校に通ったり、お勤めをしている人は、なかなかそうもいかないと言うのが女心。どうしてもと言う人には、粉おしろいと、口紅、それに眉を描く程度にしてもらうことです。この程度のお化粧なら、クレンジングクリームを使わなくても、石けんでていねいに洗えば落ちます。それに粉おしろいというのは、最近どんどん店頭では少なくなっていますけれど、油分とか乳化剤などが入っていないので、刺激が少ない上に、微粒粉が紫外線を散乱させる、なかなかのスグレモノなのです。

アトピーの人には、肌に刺激を与えるものは禁物です。皮膚科医に“ぬるま湯洗顔のみ”と言われる場合を除いて、石けん洗顔をきちんとして、皮膚を清潔に保つようにしますが、スクラブ洗顔やピールオフタイプのパックなどはもっての外。もちろん洗顔の後は乾燥させないように、保湿性の高い化粧水で水分を補給して、刺激の少ない美容液や乳液で乾燥を防ぐようにします。

刺激のない(少ない)化粧品を選ぶと言っても、難しいと言う人も多いでしょう。もし新しい化粧品を試してみたいと思うなら、まずサンプルをもらって来ましょう。それを三日ぐらい上腕の内側に少し付けて、様子を見るのです。赤くなったりしないようなら、まず大丈夫。石けんは香料の入っていない、安いもので充分です。

サンプルもくれないようなメーカーの化粧品は、避けるのが賢明だと思います。

アトピーで、その上にニキビがあるという人はたいへんです。アクネ用の化粧品は、脱脂力が非常に強いので、皮膚を乾燥させていっそう刺激に弱くしてしまうからです。アトピー体質であることを知らずに、ニキビができたからとアクネ用の化粧水を使って、炎症を起こしてしまったという人もいます。自分で判断しないで、皮膚科医に相談して下さい。そして、アトピーの症状がある程度改善されるまでは、お化粧を控えるぐらいの気持ちでいて下さい。