「洗顔」と「毛穴」の深〜い関係

1995年 non・no No.8から引用
みどり先生が取材を受けた non・no の掲載記事です

食事を見直したい。どんなものがおススメ?
皮脂が出るのを促してしまう食べ物は分かったよね。ではニキビが気になる人はどんなものを食べたらいいのか? それはビタミンB2とB6と言われている。ビタミンB2は過剰脂質を抑制し、ビタミンB6は皮膚の働きを助けたりしてくれるのだ。B2を多く含むのはレバーやほうれん草、チーズなどで、B2が足りないと口内炎や疲れ目の症状が出たりする。B6を含む食べ物はトウモロコシ、魚、インゲン豆などで、足りないと皮膚炎や口内炎、アレルギー症状が現れたりする。どちらも皮膚や粘膜に関係する栄養素なので、肌にトラブルがある人は気をつけてとるのがいいみたい。外食時にメニューを選ぶ時、自炊する時、いつも心に留めておいてね。

つぶしたい! どうしてダメなの?
プツッというニキビのできはじめを指で押し、皮脂を出してしまったことのある人はけっこういるはず。これはダメってよく言われるけど、皮脂は出したほうが気分的にすっきり。なぜダメなの?ノンノでもおなじみ皮膚科の日原みどり先生にうかがってみた。「鼻の周辺で指の腹で軽く押す程度でニュルッと出るものは、まあ出してもいいでしょう。必ず洗顔後の肌が柔らかい時に清潔な手で。ただ皆さんたいてい皮脂を出そうとすると長い爪で力いっぱい押してしまいます。そうすると肌を傷つけて化膿させ赤みを残してしまうのです。ただ先ほどの指の腹で挟んで出る程度のものも、何度も出すと毛穴は大きく広がってしまいますので、気になる毛穴はオイルコートロールパックやスクラブなどの処置が理想的です」

20歳を過ぎたら吹き出物っていうけど・・・・・・。
何歳になってもニキビはニキビ。吹き出物というのはニキビも含めた肌に起こるいろいろな症状をまとめて呼ぶ、いわゆる俗語。大人のニキビは、年齢的に正常な皮脂過剰以外の原因が多いため、別ものと考えられがちだけれど結局できる過程は同じ。

突然ボッとできた赤ニキビ。いったいこれは?
「白い段階を経ないでいきなり赤くはれあがった感じのもの。ほおに出ることが多いのですが、これはホルモンが関係している場合が多く、生理前などに見られます。これは痛みを伴ったり跡に残りやすいので、早めの処置が大切」(日原先生)。またそういう時期はあらかじめ気をつけて、洗顔や規則正しい生活を心がけよう。

皮膚科では、どんなことをしてくれるの? いつ行ったらいい?
今回ニキビについての質問に答えてくださっている日原みどり先生にうかがってみた。「まずはカウンセリングで、生活状況、職業や使っている化粧品、その他詳しく聞き、そしてニキビの症状に合わせて治療します。具体的には内服薬、外用薬両方からの処置と化粧品指導、そしてニキビ処置で例えば膿みきったものは出したりしていきます。またニキビ跡(赤み、シミ、ケロイド状の固いものなど)を改善していく治療も行っていきます」。ニキビのできる原因は一つではない。自己判断せず、少なくとも週1回、1か月は通ってみるのが大切だそう。でもあまり軽い状態で行くと追い返されてしまうのでは?「いいえ、早ければ早いほど跡は残りません。若い肌にニキビができることは、ある意味で正常な皮膚変化で、2〜3個のニキビならまず洗顔をきちんとすることが大切。でも治らず赤い跡が増えてくる状態が1〜2か月続くようならもう病気。医者へ行くべきです」ということ。大事になってあわてるよりは早めに行動を。

どうしても、どうしても、メイクしたい!
メイクはするなと言っても、素顔で外に出るのはイヤ、という人もいる。そんな時にはポイントメイクをおススメ。ファンデーションでニキビを覆ってしまうのはよくないけれど、できていない部分ならOK。ヘア&メイクの柳川さんにうかがってみたよ。「ポイントメイクの時、重要なのはマスカラ。黒のマスカラをたっぷりつけてください。あとは眉。形を整えるのと何もしないのでは全然印象が違いますから、ブラシで整え自然な色で描き足してください。ベースを塗っていない時に口もとが妙にはっきりしているのはバランスが悪い。かわいい感じのオレンジベージュや落ち着いたボルドーを、輪郭を取らずに指でのせる感じでつけるといいと思います。また、おでこだけにニキビがある人などはチークも効果的でしょう。薄いオレンジやピンクをふんわり入れると顔色が明るくなりますよ」
どうしても、という人はニキビの場所だけ避けてファンデーションを塗るというテもあるけれど難しいし、そこにまたニキビを増やす可能性も。思い切ってポイントメイクのコツを覚えてやってみるのをおススメ。

面疔(めんちょう)っていったい何? 顔の中心にあるもの?
お母さんに「面疔は悪いものだから触っちゃダメよ」と言われて、何? と思ったあなた。昔はTゾーンにできる大きいニキビ状のものを面疔と呼んで、脳膜炎を起こすなどと言われて危ないものとされていたけれど、やはりこれもニキビはニキビ。ただ鼻の上のニキビが目だつのは皮膚の下がすぐ骨で上に盛り上がりやすいから。さらにこういう部分はケロイドにる可能性が。1〜2週間で赤みがひかなければ早めに医者へ行こう。

ニキビができる場所によって原因は違うの?
日原先生によると、Tゾーンは若いころに、20代後半になると口の回りやフェイスラインにできやすくなる傾向があるそう。また大人のニキビである化粧品ニキビは、その成分により化学的な刺激が加わってできるもので、ほおの下半分に急に白ニキビができたら、この可能性あり。

赤く色がついちゃった! どうしたらいいの?
針の先くらいの大きさでパラパラと赤い状態の時はまだニキビ跡としては軽いほう。これが5、6個まとまって米粒大になる前に手を打ちたい。皮膚は約28日で生まれ変わっているのだから、この状態のものならそのうち消えるはず。周辺に次々とニキビができてしまうとなんとなく全然跡が消えていない気になるけれど、新陳代謝がきちんと行われ血液の循環がよければ赤〜ピンク〜元の肌へと戻っていくはずなのであきらめないで。この状態の時、自分で何かできることはないか、日原先生にうかがってみた。「よく睡眠をとったり適度な運動、栄養などを心がけてください。皮膚の構成成分であるたんぱく質を主体に脂肪分、炭水化物、ミネラル etc. をバランスよくとるようにしてください。逆にこれを妨害するのがタバコやカフェイン、睡眠不足、過度なお酒など。血管が収縮してしまい血液の流れが悪くなります。また顔のパッティングや寒冷浴も循環をよくしたり収れん作用が働くので、血液の流れがよくなります」。洗顔時や化粧水をつける時に手で顔を1〜2分パッティングしたり、ぬるま湯洗顔の最後に冷水を使って引き締めたり。日々できることはこんなにある。ニキビ跡対策としてだけでなく、新陳代謝を活発にするのはニキビ予防にも大切なこと。ふだんから気にして積極的に実行するといいね。

もっと悪化すると、どうなってしまうの?
この跡がクレーター状になってしまったら・・・・・・? 残念ながら元どおりにするのは難しいらしい。どうしてかというと、このような跡になるニキビは炎症がひどく表皮にとどまらず、皮膚細胞を作る場所である基底細胞にまでダメージを与えてしまったものだから。赤ニキビがなかなかひかずにしこりになったりすると、このようになる可能性大。ただ、周辺の基底細胞は残っているので、そこから縮めていってなるべく跡を小さくすることはできるそう。それには放置せずに早く皮膚科に行くこと。この状態になってから放置すればするほど、治りにくくなってしまうそうだ。とくにクレーターになりやすいのは、こめかみのように皮膚が薄いところなので、くれぐれも注意。ちなみに額、胸、鼻、あごはケロイドになるおそれのある場所。また、跡の残り方にも個人差があるそうで、例えば傷が治りにくい人はニキビ跡にもなりやすいそう。こんな人も早めの手当てが大切だ。また開いてしまった毛穴を気にする人は多いけれど、毛穴の状態を悪くしないようにするのは努力次第。あまり暑い状態にしないように(例えばサウナの入りすぎやスチーマーの使いすぎ)したり、パックやオイルコントロールなど毛穴引き締めのお手入れをしたり、洗顔をしっかりして毛穴をいつも清潔にしよう。

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